教習の合宿から御機嫌よう、あめこです
二日目にして、
部屋の環境が快適すぎて帰りたくないです。
あとはティースプーンとハンガーを買ってくれば完璧!
さて、もう8月です。
ということで一日小噺です。
即席、シュウハル夏物語。
とでも言いましょうか。
夏物語……ねえ…………
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「じゃーん」
少年は不覚にも、その形の良い唇を半開きにして数瞬を数えた。
目の前の少女は、
その年齢に照らせば完璧と言って遜色無い体の線を惜しげもなく披露し、
健康的な肌の一部を覆う鮮やかな赤と紺が、また恐ろしく映えている。
豊かな胸は主張しすぎないものの谷間を見せ、
腰の曲線はひらひらとしたごく短いスカートを纏って、
すらりと伸びる脚にその線を繋げていた。
彼の心拍数は自然と多くなる。
「…………なによ。何か言ってほしいかも!」
目の前の少女が頬を膨らませて不満の意をあらわにするのを見て、
彼は我に返った。
「………………あ、ああ、似合ってるよ、ハルカ」
ハルカと呼ばれた少女は満足げににこりと笑い、
その場で踊り子のようにくるりと一回転した。
「と、言うわけで」
ハルカはきらりと目を光らせた。
「明日は海へ行くわよ!」
「嫌だ」
少年は即答した。
「え!? どうして!!?
ここはナギサシティよ、海の町よ!!
泳がないわけにはいかないわ!」
「僕はコンテスト前の最後の調整をしたいんだ。
行きたいなら君一人で泳いでくるんだね」
眩しい太陽、青い空と海、白い砂浜をキャンバスに
彼女が楽しげに遊びまわる様子は確かに見たかったが、
コーディネーターとしての彼はその思いを封じ込めた。
「シュウはそうやっていつも抜け駆けして!」
「君が遊び回っている間にも僕は成長しているということを忘れないほうがいいよ」
「………………っ」
ハルカは、顔を真っ赤にして上目遣いで睨み上げる。
「…………どうしてもだめ?
……………………ちょっとでいいから…………調整は夕方すればいいし!
午前中に海に行きましょう!!」
妥協案を提言するあたり、よほど行きたいらしい。
それも、自分と。
シュウはこれ見よがしに大きなため息をついた。
「……仕方ないな。
君がそこまで言うなら、行ってもいいよ。
ただし、昼には帰る」
「うん!!」
とりあえず心拍数が戻らないから早くそれを着替えてくれ、
とは言えない少年であった。