毎月毎月サトシ君のはなしを考えようとしているのですが
気づくと違う人のはなしになっています。何故……
まあシンヒカシュウハルメインのサイトで
それ以外のおはなしをうpすることに需要があるのかどうかは別ですが。
需要があるかどうかはわかりませんが
バランスよくいろんなものが書けるようになりたいので
一日小噺では意図的になるべくシンヒカシュウハルは避けるようにしてます。
とか言って2回もシュウハルばなしがある件
で、今月はタケシメインです。
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「ここでちょっと休憩にしよう」
タケシの一声で一行は立ち止まると、各々荷を降ろし、
ボールから手持ちポケモンたちを外へ出した。
「よーし、ポケモンフーズだ」
手早くポケモン毎にポケモンフーズを取り分けてやる。
同時に一匹一匹の健康状態も簡単にチェックするのだ。
機嫌はどうか、食欲はあるか。
少し前のバトルの疲れはきちんと取れているか。
世界一のポケモンブリーダーを目指す彼にとっては、
欠かすことができない以前に当然の習慣である。
「……ん? どうした、ポッチャマ。食べないのか?」
ヒカリのポッチャマが、ほとんど口をつけようとしない。
一瞬、フーズの種類を間違えたかと思って、
一つ摘んで自分の口に放り投げたが大丈夫だ。
タケシは目線を上げて、正面に見える木の影で休息を取るヒカリを見遣った。
張っていた気持ちを緩める時特有の疲れが、その顔には見えた。
そうか、とタケシは得心した。
確実に近づいているカンナギタウン、そこで開催されるコンテストの存在に、
ヒカリ自身気づいていないのかもしれないがとても緊張しているようだ。
歩を進めている最中は仲間に気を遣ってか或いは強がってか、あまりそれを表に出さないが、
最も近くにいるポッチャマは敏感に感じ取っていたのだろう。
ポケモンは、個体差はあれどトレーナーの心理状態にも敏感だし、
それによって今のポッチャマのように体調に異変をきたしたりもする。
当たり前のようだが人間と同じなんだなあ、とふと思う。
こういった小さな発見は、ブリーダーを志すようになって幾度も経験し、
その都度、彼の中で貴重な宝物になっていく。
「ポッチャマ、おいで」
不思議そうな顔をするポッチャマを連れて、
タケシはヒカリのそばへゆっくりと歩み寄った。