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2024/05/19 09:02 |
つながり -сродство-


今月はゲンヒカです。
しばらくはゲンさんフィーバー(というかアニメ<<ゲーム)が続きそうです。
うん、なんていうかライバル×ヒロインといい、ゲーム熱いっすよ。

ゲンヒカと言えば、
「ゲン×DPtヒロインアンソロジー企画」に参加させていただくことになりました!幸福至極!
応援中から参加しますに表示を切り替えさせていただきました^^
こんなうんこが参加していいのでしょうか……!頑張ります。
発行は夏以降のようですが、シンヒカアンソロとも被って修羅場の予感です。頑張ります。


で、今月の小話。
タイトルのсродствоというのは、
ロシア語でつながりとか親近感、みたいな意味です。
追って更新するお話のすぐ後のはなし。
別にそっちとは切り離して全く問題ないので、先にこちらを公開。
シリアスとほのぼのが50/50くらいですが
あんまり深く考えないでお楽しみいただいたほうが読後感がすっきりするとおもいます。

あとゲンさんが読んでるのは多分シェイクスピアです。
シェイクスピアって台詞回しとかリズムがほんとに素敵だとおもいます。
あ、原文ね。日本語もいいけど。
以前シュウハル短編のタイトルに使った「から騒ぎ」の原題が、
「much ado about nothing」というんですが、
中2くらいの頃に読んで、リズムのよさに感動した覚えがあります。


===============

 


ミオ図書館は、ミオシティの自慢のひとつである、蔵書数シンオウ一の図書館だ。
建物は新しくないが趣があり、書物と静謐を静かに湛えている。
正午を回ろうかというある晴れた日、瀟洒な中庭のテラスで、
青年と少女がサンドイッチを片手に読書と談笑をしていた。

「ゲンさんは何読んでるんですか?」

テーブルの向かい側に身を乗り出し訊ねると、少女はサンドイッチを一口頬張った。
青年は微笑して答えた。

「外国の戯曲だよ。何百年も前に書かれて、今でも世界中で愛されている」

少女は本の中身に目を落とし、

「え、これ外国語じゃないですか!
すごいですね、ゲンさん外国語が読めるなんて……」

感歎の声を上げた。
青年は小さく首を振る。

「別にすごくないよ。意味はあまりわからないのだから」

「意味がわからないのに読んでるんですか?」

少女が首を傾げる。

「意味はよくわからないけれど、音はわかるからね。
言葉としての響きや、リズムがとても面白い」

青年は開いていたページに栞を挟み、ぱたりと本を畳むと、
年季が入った色合いの表紙を、慈しむように撫でた。

(こんな昔のものからも、波導を感じたりするのかしら)

青年の微笑みの、その眼差しが何を見ているのかを想うと、
少女は目の前の青年が、そこに居るのに居ないかのような錯覚に囚われた。
自分を諭す声の穏やかさも、手の温もりも、覚えているというのに。
だが、この感覚に一旦囚われると、居てもたってもいられなくなる。

「ゲンさん!」

突如として少女は立ち上がり、青年の手を取った。

「わたし、また強くなったんです!
バトルしましょう!」

「な……、なんだい、いきなり……」

「いいから!」

青年の手を引き、本もサンドイッチも放り出して、少女は図書館を後にする。
開けた中庭は非常にポケモンバトルに向いていそうだが、
そうは言っても図書館なのでバトルは禁止である。
少女が目指したのは図書館裏手の公園だ。

「ほら、ゲンさんもボール出して!」

気張ってボールを取り出すと、いきますよ! と高く放り投げる。
出てきたレントラーと笑顔満点の少女をしばし眺めると、
青年は自分もボールを取り出し、微笑んでひとつ息をついた。

「仕方が無いな。私も負けはしないよ」



 

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2009/02/01 21:45 | Comments(0) | 小話

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