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2024/11/25 13:42 |
beautiful loser


ジュンくんのおはなしです。プラチナver.。いや大して変わらんが。
……確かダイパだと湖でジュピターと戦うんじゃなかったかしら。
まあ、あまり根本的には関係ないですね。


ヒカリ=光やコウキ=光輝はひかりものに由来しているのはわかるのですが、
ジュンって…?
と思ったのがねたの最初です。
だから、お話の最後の5行がいちばん最初にできました。
「も、これでよくね?」
と思いましたがさすがにこれだけじゃちょっとあれなので。
もしかして伝わらなかったら悲しいけど、
ここでばらすのもなんだか癪なので、
ジュン= をわたしが何と考えたかはここでは伏せますね。
ではどうぞ。

===============


 
 

 

いつから、目先の勝ち負けに拘るようになっていたのだろう。
エイチ湖でギンガ団の幹部にこてんぱんに打ち負かされてから、
彼の頭を頻繁に支配する問いがあった。
あのとき負けた自分への教訓、
「勝ち負けではなく、”強く”ならなくては」。
親友に向かって吐露した気持ちはまさしく真実だったが、
自分でも、どうすれば”強く”なれるのか、その答えはわかっていない。
旅の途中では、負けることよりも勝つことのほうが圧倒的に多かった。
考えてみれば、自分が負けたことがあるのは親友だけかもしれなかった。
そこで最初の問いに立ち返る。
そもそもいつから、勝ち負けに拘るようになった?
最初にナナカマド博士からポケモンを貰って、
一番最初に彼女とバトルしたときも、自分は負けた。
そのときからだろうか。
それとも、最初は負けたものの、
旅をしていく中で勝つことに対する慣れができていたのか。
おそらく、答えはどちらでもありどちらでもないのだろう。
勝ち負けに拘りたがったかつての自分の心、
それがわかれば、自ずと本当の”強さ”が見えてくる。
彼はそう確信していた。



私がエイチ湖に到着したとき、
彼は重大な勝負に負けたことに打ちひしがれ、呆然と湖畔に佇んでいた。
ギンガ団の幹部の女が、彼にナイフのような言葉を浴びせて去っていったが、
そもそも彼は聞いていないようですらあった。
ゆるやかな白い息が私の視界を曇らせていたが、
彼の姿だけはぶれることがなかった。
私は幹部の女がつけた足跡を消すように雪を踏みしめ、
彼の隣に駆け寄った。
彼は私に気づいていたが、私と目を合わせようとはしなかった。
勝ち負けではない。”強く”ならなければ。
薄氷漂う湖面を見つめながら、その瞳が強い意志を宿したのを、
私は隣で見ていた。
私はきっとギンガ団を倒すことができる。
あの瞳と、湖畔を去る痛々しい背中を思い出すだけでいいのだから。

 

 

混じりけの無いもの、
迷いの無いもの、
澄み渡る湖面のような、
どこまでも透明で穢れを知らないその響きに、
大いなる祝福があらんことを


 

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2008/11/01 22:48 | Comments(0) | 小話

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